コインの商品説明で見かける「発行枚数」や「限定○枚」という言葉。
数が少ないと、特別な一枚に感じられることがあります。
では、発行枚数が少ないコインほど、価値も高くなるのでしょうか。
発行枚数は、希少性を知るための大切な情報です。
ただ、価格には、今どれだけ残っているか、どのような状態か、どれほど求められているかも関わります。
ここでは、発行枚数と希少性の関係、現存数や鑑定枚数との違い、コインの価値につながる理由をご紹介します。
アンティークコインにも、近年発行されたモダンコインにも共通する内容です。

コインの価値には、発行枚数に加え、保存状態や希少性、求める人の多さなども関わります。
発行枚数とは、何を表す数字?
発行枚数は、その種類のコインが何枚作られたかを示す数字です。
英語の商品説明では「Mintage」と書かれることがあります。
同じ図柄でも、年号や額面、素材、仕上げが違えば、それぞれ別の枚数が示される場合があります。
例えば、同じデザインの金貨と銀貨、通常の仕上げとプルーフ仕上げでは、作られる数も異なります。
気になる一枚の発行枚数は、そのコインがどのような規模で作られたのかを知る情報になります。
「限定○枚」が、コイン全体の枚数とは限らない
海外の記念コインでは、似た数字でも意味が異なることがあります。
英国王立造幣局では、主に次の表記が使われています。
- Maximum Coin Mintage:そのコインの発行上限
- Limited Edition Presentation:特定のケースやセットなど、その販売形態で用意される数量
例えば、2018年のレッド・ドラゴン・オブ・ウェールズ1キロ銀貨では、公式案内に発行上限200枚、専用ケース入りの販売形態は150枚と記されています。
この場合、150枚という数字は、コイン全体の発行上限とは別のものです。
また、発行上限は、最終的にその数すべてが作られたことを示す数字とも異なります。
日本語の商品説明で「限定」と書かれていても、何の数量なのかがわかると、その一枚についてより具体的に知ることができます。
発行枚数が少ないほど、価値は高い?
作られた数が少ないことは、希少性を考えるうえで一つの特徴になります。
ただ、枚数の少なさだけで価格が決まるわけではありません。
数が少なくても、求める人が少なければ、価格が大きく上がるとは限りません。
一方、発行枚数が比較的多くても、人気のある図柄やシリーズとして集められているコインもあります。
ここで分けて考えたいのが、「数が少ないこと」と「どれほど求められているか」です。
希少性は、残っている数や入手の難しさに関わります。
需要には、そのコインを欲しい人がどれくらいいるかに加え、どれくらいの価格で手に入れたいと思われているかも関わります。
価格には、その両方に加え、素材や状態なども反映されます。
発行枚数と、今残っている数は違う
古いコインでは、作られた当時の枚数と、現在残っている枚数が大きく異なることがあります。
使われるうちに失われたり、金属として溶かされたりして、数が減るためです。
今残っている数は「現存数」と呼ばれます。
ただし、すべてのコインの正確な現存数がわかっているわけではなく、専門家による推定が使われる場合もあります。
PCGSも、米国コインの希少性を紹介する際、発行枚数とは別に現存数の推定を用いています。
アンティークコインでは、「何枚作られたか」に加えて、「どれほど残ってきたか」にも、その一枚が歩んだ時間が表れます。
同じコインでも、状態によって希少性は変わる?
全体では多く残っているコインでも、よい状態で残るものは少ない場合があります。
長く使われてきたコインの中に、肖像や文字の細部が鮮明に残る一枚がある。
そのような状態で残っている数も、収集の対象として評価される理由になります。
同じ種類のコインでは、高いグレードのものが少なく、そこに需要もあると、価格差につながる場合があります。
ただ、最高グレードというだけで、そのコインの枚数が少ないと決まるわけではありません。状態の評価と、その評価が付いた枚数は、別の情報です。
プルーフコインの最高評価であるPF70については、こちらでご紹介しています。
鑑定枚数は、世界に残っている枚数?
NGCやPCGSは、自社で鑑定したコインの枚数を、種類やグレードごとに公開しています。「Population」や「Census」と書かれることがあるデータです。
ここでわかるのは、その鑑定会社の集計に記録された枚数です。
まだ鑑定に出されていないコインや、ほかの会社で鑑定されたコインまで含む、世界全体の現存数とは異なります。
例えば、あるグレードの鑑定枚数が少なくても、同じ状態のコインが未鑑定のまま残っている可能性はあります。
また、同じコインがケースから出されて再び鑑定に提出され、古い記録が整理されていない場合などには、重複が残ることもあります。
そのため、複数の鑑定会社の枚数を足しても、そのまま現存数になるわけではありません。
「最高鑑定」は、70だけを指す?
商品説明にある「最高鑑定」は、70を指している場合と、その種類のコインで記録されている最も高いグレードを指している場合があります。
PF70は、1〜70の評価尺度で最も高い状態の評価です。
一方、古いコインなどでは、その種類に70の評価が付いたものが記録されていないこともあります。
例えば、ある年号・種類のコインについて、ある鑑定会社の集計でMS64より高い評価が記録されていなければ、そのMS64が集計上の最高鑑定になります。こうしたコインは「Top Pop(トップポップ)」と呼ばれることもあります。
つまり、70であることと、その種類の中で最も高い評価が付いていることは、別の意味です。
「最高鑑定」とあっても、そのグレードが一枚だけとは限らず、同じ評価のコインが複数ある場合もあります。
「鑑定枚数○枚」は、範囲と日付も一緒に
鑑定枚数や最高鑑定については、どの鑑定会社の、どの年号・種類・グレードの集計なのかがわかると、数字の意味がはっきりします。
新たなコインの鑑定や記録の修正によって、枚数や集計上の最高グレードが変わる場合もあります。確認された日付も、その情報の一部です。
鑑定会社の役割やラベルの読み方は、それぞれの記事にまとめています。
コインの価値は、何で決まる?
発行枚数、現存数、状態ごとの希少性、そして需要。ここまでの数字や情報は、コインの価値を考えるためのものです。
そこに素材や図柄、歴史的背景なども関わり、一枚ごとの評価につながります。
同じ枚数でも、同じ価格になるとは限りません。
描かれた人物や出来事に関心が集まったり、シリーズとして集める人がいたりすることも、そのコインが求められる理由になります。
一方で、「この表情が好き」「この時代のものを手元に置きたい」という気持ちも、一枚を選ぶ理由です。
図柄に一目惚れしたり、描かれた人物や時代に惹かれたり。
手元に置きたいと思う理由は、人それぞれです。
希少性の数字は、その一枚をもう少し詳しく知りたくなったときに、背景を知る手がかりにもなります。
数字から、その一枚の背景へ
何枚作られ、どのような状態で残ってきたのか。
数字の意味がわかると、商品説明から読み取ることができる情報も増えていきます。
気になる図柄を眺めながら、その一枚が生まれた時代や、今に残るまでの時間にも思いを巡らせる。
それも、コインを集める楽しみの一つです。
FALJU COINSのコレクションでは、各コインの写真や鑑定評価に加え、図柄の見どころや歴史的背景もご紹介しています。
手のひらに収まる、歴史と芸術。
Art and history, held in your hands.
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