
左は1999年ダイアナ追悼記念5ポンド銀貨、右は2017年ソブリン金貨です。
補足 写真の表示サイズは実物の大きさの比率とは異なります。
ティアラを着けた横顔と、華やかな頭飾りにイヤリングを合わせた横顔。
どちらもエリザベス2世ですが、コインを見比べると、顔立ちや髪形、装いに違いがあることに気付きます。
エリザベス2世の肖像は、金貨や銀貨、日常に使われた硬貨など、さまざまなコインに描かれています。英国で使われた基本の肖像も、長い在位の間に5種類が登場しました。
女王の横顔から選ぶことも、反対側に描かれた人物や模様から好きになることもできます。
ここでは、ダイアナを記念した銀貨とソブリン金貨を眺めながら、肖像の違いや、それぞれの一枚に残る物語をご紹介します。
エリザベス2世のコインは、一種類ではない
「エリザベス2世のコイン」は、特定の一種類の名前ではありません。
女王の肖像を持つコインには、日常のお金として作られたもの、王室の出来事を記念したもの、収集を楽しむための金貨や銀貨などがあります。
ダイアナの肖像を描いた記念銀貨にも、反対側にはエリザベス2世がいます。ソブリン金貨では、女王の横顔と、聖ジョージや王室紋章を組み合わせたものが見られます。
同じ女王の肖像から、違う人物や歴史へつながっていく。その広がりも、王室のコインを眺める楽しみです。
女王の肖像は、どう変わった?
英国の通常貨で使われたエリザベス2世の基本肖像は、次の5種類です。記念貨には、このほかに特別な肖像もあります。
- 1953年登場|メアリー・ギリック
月桂樹の冠を着けた、若い女王の姿。 - 1968年登場|アーノルド・メイチン
ティアラを着けた横顔。 - 1985年登場|ラファエル・マクルーフ
華やかな頭飾りに、ネックレスとイヤリングを合わせた姿。 - 1998年登場|イアン・ランク=ブロードリー
ティアラを着け、顔立ちを大きく表した肖像。 - 2015年登場|ジョディ・クラーク
華やかな頭飾りと、揺れる形のイヤリングが目を引く肖像。
掲載している1999年ダイアナ銀貨の女王像は、イアン・ランク=ブロードリーによるものです。首元に、小さく「IRB」の文字が見られます。
2017年と2022年のソブリン金貨は、ジョディ・クラークの肖像。「JC」という文字が入っています。
つまり、2017年と2022年のソブリンは、発行年は違っても同じ作者による基本肖像です。
年号を変えて集める楽しみもあれば、作者や装いの違いから、好きな横顔を見つける楽しみもあります。
一枚の表裏に、ダイアナとエリザベス2世
1999年に英国で発行されたダイアナ追悼記念5ポンド貨には、ダイアナとエリザベス2世、二人の横顔が描かれています。
ダイアナの肖像を手がけたのは、デイヴィッド・コーネル。
反対側の女王像は、イアン・ランク=ブロードリーによるものです。
掲載しているのは、この記念貨の銀製プルーフ版です。

ダイアナの髪の流れや、首から肩へと続く輪郭。女王のティアラや、耳元の小さな飾り。
同じ一枚でも、二人の肖像では目を引かれるところが違います。
ダイアナ側には「1961」「1997」という数字があります。
これはダイアナの生年と没年で、コインの発行年は1999年です。
周囲の「IN MEMORY OF DIANA PRINCESS OF WALES」は、ダイアナをしのぶ言葉。
「FIVE POUNDS」は5ポンドの額面を表しています。
英国王室への関心からコインを見始めた方にも、人物と文字をたどりながら眺められる一枚です。
ソブリン金貨で見る、女王と英国の伝統
ソブリンは、英国を代表する金貨の一つです。
ここで紹介する2017年と2022年のものは、22金で作られています。
2017年のプルーフ・ソブリンは、1817年に登場した近代ソブリンの200周年を記念した一枚です。
片面にエリザベス2世、もう片面に聖ジョージの竜退治が描かれています。

馬に乗った聖ジョージと、その足元の竜。周囲には、文字を刻んだ帯が取り巻いています。
この図柄は、ベネデット・ピストルッチが手がけた1817年のデザインをもとにしています。
女王の肖像から裏返すと、約200年前に生まれた図柄が現れる。
2017年の一枚の中に、異なる時代の彫刻家の仕事を見ることができます。
銀貨と並べたときの色合いの違いも、写真で見てみたいところです。
2022年は、在位70周年を記念する紋章へ
ソブリン金貨の図柄は、特別な節目に変わることがあります。
エリザベス2世の在位70周年「プラチナ・ジュビリー」を記念した2022年のソブリンには、ティモシー・ノードによる王室紋章が描かれました。
掲載しているのは、厚く仕上げた「ピエフォー」という仕様の金貨です。
通常のソブリンと同じ直径で、厚さと重さが約2倍になります。

盾を囲むライオンとユニコーンが描かれています。
2017年の聖ジョージと、2022年の王室紋章。女王の基本肖像が同じでも、反対側の図柄から、それぞれの年に記念された出来事がわかります。
英国以外のコインにも、エリザベス2世がいる
女王の肖像が見られるのは、英国のコインだけではありません。
カナダなどでもエリザベス2世の肖像が使われ、英国とは異なる作者による肖像もあります。
英国の5種類が、そのまますべての発行地に当てはまるわけではありません。
FALJU COINSで紹介している2021年セントヘレナ「ウナとライオン」銀貨にも、反対側には女王の肖像があります。
女王の顔が描かれていても、発行地や題材はさまざまです。
周囲の国・地域名や年号にも目を向けると、一枚の背景が見えてきます。
金貨と銀貨、どちらから楽しむ?
金貨では、金の色合いと小さな中に収まる細工に惹かれることがあります。
銀貨では、髪やティアラの線、背景との質感の違いが目に留まるかもしれません。
今回紹介したコインは、いずれもプルーフ仕上げです。
図柄と鏡のような背景の違いも、眺める楽しみになります。
プルーフは、コインの仕上げを表す言葉です。
詳しくは、プルーフコインとは?でもご紹介しています。
最初の一枚なら、好きな横顔や、知っている人物、気になる出来事から見ていくのも良いと思います。
ダイアナの姿を手元で眺めたい。聖ジョージの細かな彫刻が気になる。王室紋章の模様をもっと見てみたい。
そんな気持ちから、金貨や銀貨を見比べる楽しみが始まります。
エリザベス2世のコインは、アンティーク?
エリザベス2世の肖像を持つコインには、1950年代のものから近年の記念貨まであります。
この記事の1999年、2017年、2022年のコインは、近現代のモダンコインとしてご紹介しています。
コインを探すときには、「アンティーク」「モダン」という呼び方だけでなく、実際の発行年も見ると、その一枚が生まれた時代を知ることができます。
好きな横顔から、王室の歴史へ
見慣れていた女王の横顔にも、作者や時代による違いがあります。
ティアラやイヤリングに気付き、反対側の図柄を眺め、その年の出来事を知る。
小さな一枚から、英国王室の歴史が少しずつ広がっていきます。
最初に惹かれたのは、横顔でも、金や銀の色合いでもいいと思います。
写真で気になったところを、手元でもう一度眺めたくなる。
そんな一枚を探す時間も、コインを集める楽しみの一つではないでしょうか。
FALJU COINSのコレクションでは、各コインの写真や鑑定評価に加え、図柄の見どころや歴史的背景もご紹介しています。
手のひらに収まる、歴史と芸術。
Art and history, held in your hands.
FALJU COINS
Curated in Tokyo